労務管理とは
労務管理とは、企業(組織)がその目的達成のために「組織内の秩序を安定・維持」し「組織力を活性化」する一連の手続きと管理の業務をいいます。
企業の目的は、「生産性を向上」し「適正な利益」を上げることです。
その企業(組織)を構成するのは「人」です。
労務管理は、生身の人間を対象とした管理です。元来、人間の行動は欲求を満たすためのプロセスです。
適切な労務管理を行うには、人間としてのこれらの欲求を十分に理解した上で実施することが大切です。
よって、これらのことを踏まえ「採用」から「退職」に至る体系的かつ効果的な施策を整備する必要があります。
また、コンプライアンスを遵守し(法令や社会のルールを遵守)、高い倫理感を持った健全な企業経営も必要です。多くの場合、職場の労務管理においては、法律に対する知識や理解の不足、管理者の認識の甘さなどの様々な理由によって労働法に関するコンプライアンスが徹底されていない場合が多いのではないでしょうか。
※つまり、労務管理とは、コンプライアンスを遵守した上で、企業で働く従業員一人ひとりが「満足し(納得し)」「やる気を起こし(働きがいをもち)」「経営者の思いや理念(ビジョン)を高いレベルで実現する(行動する)」ための様々な施策についての管理といえます。 労務管理が不十分であれば、経営者が望んでいるような行動を従業員はとってくれません。
従業員は心を持った人間であり、様々な欲求を持っている存在であるからです。
労務管理を怠るということは、従業員をないがしろにすることを意味します。
労務管理が整えられ、「大切にされている」と実感できれば、従業員は喜びを感じて真剣に職務に取り組み、経営者が望む以上のパフォーマンスを見せてくれるでしょう。その結果、企業全体の生産性が高まり、業績は向上し、更なる発展につながります。
労務管理の原則(マズローの欲求5段階説)
欲求5段階説はマズロー(アメリカの心理学者1908〜1970年)が提唱した説です。
人間は常に何らかの欲求を持ち、人間の行動は
欲求を満たすためのプロセスです。適切な労務管理を行うには、人間としてのこれらの欲求を十分に理解しておくことが大切です。
人間の欲求は
1)生理的欲求が満足したら
2)安全・安定の欲求にいく・・・という下から順に欲求段階が上がっていきます。
従業員のモチベーションアップ(意欲づけ・動機づけ)は、これらの欲求を段階的に満足させることが重要です。
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●やりたい仕事を
担当させる
●成長の機会を与える
●チャレンジングな目標を
達成させる
●担当している仕事の
重要性・貢献度を
認識させる |
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●経営ビジョンの実現
●目標管理制度
●キャリア制度
●社内公募制度 |
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●仕事の実績を評価する
●優れている点を認める
●仕事を任せる
●権限を委譲する |
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●人事評価制度
●昇進・昇格制度
●表彰制度
●社外研修制度 |
●職場運営に参画させる
●方針・目標を共有化する
●問題点・悩みを
共有化する
●支援・協力・アドバイスを
する |
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●個人目標と
組織目標の
統合
●小集団活動、
各種プロジェクト
●提案制度、ミーティング、
ダイアログ(面接制度)
●承認ノート・メモ |
●公平な対応
●適切な労務管理 ●危険な作業場所をなくす
●保険、事故への備え |
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●福利厚生の充実
●作業条件の整備
●安全な職場環境
●各種保険の加入
(社会保険・労働保険) |
●雇用条件の明示
●適切な就業管理
(雇用条件) |
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●雇用契約書の締結
●就業規則の整備
●必要な賃金手当ての支給 ●適切な労働時間管理 |
動機づけの考え方(動機づけ・衛生要因理論)
動機づけ・衛生要因理論は、F・ハーズバークが提唱した理論です。
仕事を遂行していくうえで人間としての真の喜びは、「目標を達成した」、「周囲の評価があった」、「よい仕事をした
という実感があった」、「責任のある仕事を任された」などであり、「職場の人間関係のよさ」、「就業のための条件」、
「福利厚生設備のよさ」、「高い給与」などにあるのではないという考え方です。
不満足要因(衛生要因) |
満足要因(動機づけ要因) |
| 1)経営方針 |
1)達成感 |
| 2)対人関係 |
2)承認 |
| 3)作業条件(労働条件) |
3)仕事そのもの |
| 4)身分(地位) |
4)責任 |
| 5)保障 |
5)昇進 |
| 6)賃金、賞与 |
6)成長の可能性(自己成長) |
| 7)個人生活 |
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この要因を満足させても、やる気にはならない。
しかし、満足させていないと、不満をもつ。 |
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この要因を満足させると、
やる気になる |
サービス業における好循環(人が財産!)
「優秀な人材」と「教育(人材育成)」が、「良質なサービス」提供につながり、顧客(患者・利用者)が満足することで「収益」が上がり、企業(医療・介護機関等)が健全に成長します。
眠れる巨大な資産「人」の目覚めを
太陽と土壌の改良で促そう
従業員を木に例えると、一本一本の木がつける実の合計が企業の利益です。
木を育て、大きな実をつけるには、太陽(方針・ビジョン・目標)と土壌(教育・コミュニケーション)が必要です。
社員の働きがいが育つ企業文化の3要素
働きがいが育つ企業文化で重要なポイントは、
1) 従業員個人個人に対する教育(特に自己概念の向上に関する教育)
2) 人間関係
3) 良い企業文化を育むシステム
・・・の3要素です。
労務管理・制度づくりのフローチャート
労務管理上の手続き&法律の知識
募集から採用までのチェックポイント!
1.募集目的(人材)の確認
正社員でなくてはできない業務かどうかの確認
効率的なマンパワーの選択(パート、アルバイト、派遣、契約・・・)
さまざまな雇用形態のメリット、デメリットを検討し、
費用対効果の高い人材の選択が必要です。
2.募集の決定
募集時の注意事項
「ほしい人材(能力・職種)の明確化」、
「法律の理解(労基法、男女雇用機会均等法等)」が重要です。
3.募集方法の決定
募集方法別メリット、デメリット
費用的、時間的等のメリット、デメリットを考慮し、自社に合った募集を行いましょう(直接募集・委託募集・文書募集・ハローワーク等)。
4.採用決定までのプロセス
試験、面接の方法
外国人雇用について
人は会社の財産(宝)です。試験、面接は決まった方法はありません。
自社独自の方法により優秀な人材を採用しましょう。
5.採用の内定、試用期間
内容決定、内定通知
試用期間
試用期間は、本採用前のその人材の見極めを行う非常に大切な期間です。
条件等は法律の範囲内で設定自由です。
6.本採用
本採用の決定
労働条件の決定&労働条件の明示(文書にて)
労働条件は、将来に向かって会社のリスクヘッジにもなります。
必ず本人に明示することが必要です。
特に
1)労働契約の期間
2)就業の場所、業務
3)始業・終業の時刻、残業、休憩、休日、交替制勤務
4)賃金
5)退職等については書面による明示が義務づけられています。
7.採用後に知っておきたいこと、注意したいこと
労働基準法
賃金(給料、賞与、割増賃金、支払方法など)
就業規則(必ず周知しなければなりません)
「実際に多い法律の誤解」、「諸規程の重要さ」、「会社を守るために必要なこと」等、を理解しましょう。
採用後のチェックポイント
◆従業員に提出してもらうもの(初出勤日又は初出勤日までに)◆
1.従業員が持っているもので必ず提出してもらうもの
年金手帳(基礎年金番号通知書)。
被扶養配偶者がいる場合は配偶者の年金手帳
雇用保険被保険者証(複数ある場合はすべて)
前の会社で交付された源泉徴収票(前職がある場合)
2.従業員に記入し提出してもらうもの
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
扶養家族届
通勤届
誓約書
身元保証書
健康診断書(3ヶ月以内のもの)
住民票記載事項の証明書
◆会社が従業員に交付するもの◆
1.会社が従業員に交付するもの
労働条件通知書(又は雇用契約書の締結)
辞令
2.手続き後、会社が交付するもの
健康保険被保険者証
雇用保険被保険者証
年金手帳(基礎年金番号通知書)
※雇用保険被保険者証や年金手帳は、従業員に交付、返却しなければなりません。
※従業員が紛失した場合、再交付の申請をすることができます。
社会保険と労働保険を適用するポイント!
労働時間からみた場合の加入要件
(週所定労働時間40時間の場合)
年齢からみた場合の加入要件
※介護保険は、健康保険の資格取得の手続きをすれば自動的に資格取得する
(介護保険料は、健康保険料に上乗せし、徴収される)
退職時のチェックポイント!
1.解雇
解雇事由(合理的な事由かどうか)の確認
解雇制限を受ける者かどうか
解雇手続き(解雇予告または解雇予告手当の支払い)を行ったか
短時間労働者の場合、契約期間満了による「自然退職」か解雇かの実態把握
解雇の同意書がもらえるか
2.退職
退職事由(自己都合か退職勧奨への同意かなど)の確認
退職届(又は、退職願い)をもらったか
3.事務手続き:会社が確認すること
退職同意書、退職届(又は、退職願い)をもらったかどうか
健康保険の選択(任意継続か国民健康保険か)をしてもらったか
離職票の発行希望の確認
(ただし、離職日に59歳以上の者は、必ず添付が必要)
退職金・解雇予告手当の支払いがある場合、
「退職所得の受給に関する申告書」 の手配、
記入依頼
健康保険被保険者証の回収時期、方法についての確認を行ったか
手続きのスケジュールの確認(特に任意継続の場合)
引き継ぎのスケジュールの調整
競業禁止についての話し合い
4.事務手続き:退職者から回収するもの、確認すること
退職届(又は、退職願い)
健康保険被保険者証
離職票の発行の希望(ただし、離職日に59歳以上の者は、必ず添付が必要)
退職金・解雇予告手当の支払いがある場合、
「退職所得の受給に関する申告書」 の手配、記入依頼
未払賃金があれば、その精算方法の確認
5.退職者が自分で行うこと
退職届(叉は、退職願)の提出
引き継ぎのマニュアル作成など
年次有給休暇、引き継ぎ、退職日の確認
健康保険の選択(任意継続か国民健康保険か)
任意継続を希望する場合、その手続き(自分で行う)
→次の会社がすでに決まっていれば不要
年金の手続き(第2号被保険者から第1号被保険者へ。自分で行う)
→次の会社がすでに決まっていれば不要
退職金、解雇予告手当の支払いがある場合、
「退職所得の受給に関する申告書」の手配、
記入依頼
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